昭和27年02月23日 衆議院 法務委員会 [005] 自由党(自由民主党) 押谷富三、[006] 参考人(警視総監) 田中榮一

昭和27年02月23日 衆議院 法務委員会
[005]
自由党(自由民主党) 押谷富三
21日の騒乱の関係はことごとく対象を警察官あるいは交番、警察署に置いておるのでありますが、こういう警察を対象とした一つの騒乱は、その以前にかつて行われました北海道の白鳥事件あるいは長野における警察の集団暴行事件、あるいは練馬の巡査殺し事件等に一つの関連を持っておると思うのでありますが、こういう関係について警視総監はどうお考えになっておりますか。

[006]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えいたします。現在の階段におきまして北海道の白鳥警部殺害事件並びに印藤巡査の殺害事件等は、私どもは明らかにこれは思想的背景を持った犯罪であるということが考えられるのであります。

それから今回21日に集団不法行為が行われたのでありますが、この「球根栽培法」の中にもすでに労働者はいろいろな形で敵の武器を持ち出しており、大衆闘争の中でこれを意識的に計画すれば必ずとれることが明らかとなっておる、また札つきの反動警察官等を襲い武器を奪うこともできる、われわれはこれを行わなければならない、こういうことをはっきり言っておるのであります。

そうしてその使用する武器につきましては必ずしも近代的なものでなくともよろしい、大衆の持っている刀や工作道具、農具も武器となり得るし、また竹やりや簡単につくることもできる武器も使用することができる。特に敵を襲撃するために必要な――敵というのは、これはおそらく警察官を指しておるものと考えられるのでありますが、敵を襲撃するために必要な輸送、軍用自動車のパンク針、手榴弾、爆発物等のような簡単なものはただちに製作することが必要である。

かように「球根栽培法」にはいっておるのでありますが、今回の集団暴行事件はこれを地のままに行っておりまして、明らかに国家権力に対する一つの反抗であるというようにその行動の様相から見てはっきり言えるのであります。

何にも罪のない警察官が忠実に警邏をしておる。その1人の若い警察官が警邏さしておる者を、数100名の者が取囲んで打つ、なぐる、あまつさえ武器まで――拳銃まで取上げるということは、これは明らかに権力に対する一つの反抗であると「球根栽培法」にいっておるところの方針をそのままに行ったのではないかというように私は考えるのであります。
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