長田区役所襲撃事件

昭和25年11月30日 衆議院 法務委員会
[005]
民主自由党 押谷富三
現下すこぶる緊迫いたしておりまする国際情勢下におきまして、最も重要なる国内治安の関係について、政府の御説明なり、御所見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。それは今議題に供せられております神戸の朝鮮人騒動でありまするが、この事件は一昨年の4月、わが国で初めて出されました非常事態宣言のありました朝鮮人事件に次ぐ重大な事件でありまして、この事件についての国民の関心はまことに深いものがあります。

この事件は過去において現われておりまする同種の事件とたいへん趣を異にいたしておる、いわゆる特殊性を持っておるのでありまして、ここに集まりました朝鮮人の数におきましてもたいへん多いのであります、その集まり方におきましても、同時に兵庫県における明石、大久保、姫路、相生、飾磨、福崎あるいは神戸市、尼崎市、西宮市、高砂町、こういう各方面からかり出されたものが1000何十名かが集ったのであり、しかも伊丹であるとか、神戸市各所において、同時蜂起の形をとっておるのでありまして、一つの大きな指令のもとになされたごとき特異性を持っておると思います。

あるいはまたかり出されておるこの暴徒の中には、学童でありますとか、あるいはもうほとんど活動力を持っておらないような老婦人などを前線に立たしめておるというような形になっておるのでありまして、かような点におきましてもたいへん違った点がありますが、とにかくこの朝鮮人の騒動はまことに大きな騒乱でありまして、国民はたいへんな関心を持っておるのでありますが、これはちょうど神戸事件だけを考えますと、あたかも氷山が海面に現われた形でありまして、その水面下にはたいへん大きなものがひそんでいると考えます。

私はこれからそういう方面について少し御当局の意見を伺いたいのでありますが、まず最初にその表に現われた氷山、この朝鮮人事件の概要を、政府が収集せられております資料によりまして、御説明をいただきたいと存じます。

[006]
法務総裁(自由党) 大橋武夫
押谷君の御質問になりましたる神戸事件について、ただいままで当局において取調べましたる概要を申し上げることにいたします。

兵庫県下におきまする朝鮮人は、本年9月末現在の外国人登録国籍別調査によりますると、5万2868名、このうち元朝連系に属すと認められます者4万5190名、民団系7678名ぐらいということに相なっておりまして、神戸市を中心とし尼崎、明石、姫路の各市に最も多く居住いたしておるようでございます。

終戦後最も大きな騒擾事件として取上げられましたる昭和23年4月の朝鮮人学校問題をめぐる、いわゆる神戸事件を惹起いたし、続いて姫路、尼崎等においても事件が発生し、このために治安面においても相当憂慮するものがあった次第でありますが、昨年9月朝連及び民青の解散によりまして、その間一時活発なる動きをしないようなことになっておったのであります。

しかしながら本年6月25日の朝鮮動乱の勃発前後から、俄然活発な動きを見るようになりまして、ことに動乱勃発後におきましては、全県下にわたって反戦、反米的な運動を展開いたし、しかも本年8月10日ごろから、朝鮮人秘密工作隊を結成いたし、神戸市内の朝鮮人小学校でひそかに訓練所を設置いたしまして、青年行動隊員の尖鋭分子を訓練し、遂に9月9日、工作隊員の一部を勅令第311号違反容疑で一斉検挙し、その後の動向については厳重に当局といたしましても注意をいたしておったのでありますが、遂に今回の騒擾事件の発生を見るに至った次第でございます。

今回の騒擾事件発生に至るまでの経緯を申し上げますると、11月20日午前10時ごろ神戸市長田区役所に朝鮮人約300名が押しかけて参りまして、生活保護法を適用してくれという要求を掲げて、不法行為に出ましたので、1名を公務執行妨害に、30名を外国人登録証明書不携帯としてそれぞれ検挙いたしております。

11月24日午前11時ごろには朝鮮人約1000名ぐらい、このうちには朝鮮人中学生約300名ほど含んでおりますが、神戸市長田区役所に押しかけまして、市民税を撤廃せよ、また生活保護法を徹底的に実施せよという要求をいたし、不穏な行動に出んといたしましたので、区役所側からの要請によりまして、所轄長田警察署から警察官が現場に急行いたしまして、群衆に退去を要求したのであります。しかるにかえって警察官に対し反抗するに至りましたので、うち27名を公務執行妨害並びに住居侵入容疑で検挙をいたしましたので、ようやく解散するに至りました。

ところが同日午後8時ごろ彼らは神戸市所在の西神戸朝鮮人小学校に集合いたしまして、被検挙者の奪還を計画いたし、その後午後9時30分ごろ約200名くらいが長田警察署に押しかけ、代表者7名が署長に面会を求めまして、被検挙者の釈放を要求したのでありますが、拒否せられて、退去いたしたのであります。

同日午後10時ごろ再び西神戸少学校に集まりまして、スクラムを組んで長田警察署に押しかけまして、被検挙者の釈放を迫りましたが、これも拒否せられたのであります。この際におきましても、警察官に反抗いたしたという事案がございまして、首謀者と認められまする川崎製鉄所解雇者でありまする日本共産党員1名を、公務執行妨害罪で検挙いたしたのであります。

なお11月24日は葺合区役所、灘区役所にも同様朝鮮人団体60名ぐらいが押しかけまして、長田区役所同様の要求をいたしており、しかも時間的に見ても午前11時ごろから午後3時ごろまでに解散をいたしたという状況になっております。

さらに11月24日は兵庫県姫路市内三菱電機株式会社姫路工場の被整理者の、レッド・パージ反対をめぐる不法行為者4名を検挙いたしておりますが、これら被検挙者の釈放要求のため、翌25日午後1時ごろ、朝鮮人約100名ぐらいが姫路市警察署に押しかけまして、署長に面会を強要いたし、この間群衆は署内になだれ込んで、机、ガラス等を破壊いたしましたのでうち4名を暴力行為、住居侵入容疑で検挙いたしております。

11月25日には、右のほかに神戸市役所に20名、明石市役所に75名、大久保町役場に90名くらいの朝鮮人が、日本共産党員等に引率されて、それぞれ押しかけて参りまして、越年資金、生活保護法即時適用、食費代等を要求いたしまして、気勢をあげておりましたが、不法行為の発生を見るに至らなかったのであります。

さて11月27日の日は、神戸事件の発生の当日でございまするが、この日は早朝から、何らかの指令によるものと思われるのでありまするが、兵庫県下の朝鮮人が20名ないし30名ぐらい一団となりまして、続々神戸市内に集まり、神戸地検、神戸市役所、生田区役所、灘区役所、長田区役所、兵庫税務署、須磨税務署、伊丹市役所、長田警察署等にそれぞれ10名ないし20~30名ぐらいが押しかけまして、市民税撤廃、警察官動員反対等を陳情要求いたしますとともに、一方におきまして神戸市所在の西神戸朝鮮人小学校に700名ぐらいが集合して気勢をあげていたものであります。

これに対して、同日午後0時15分ごろ神戸市警察局長名をもちまして、同校の集会を公案条例違反として集会禁止命令を発したのでありますが、これに応ぜずかえって警察官に反抗し、さらにアジ演説を行い、石ころ、れんが等を運び、各人はこん棒、割木等を所持して気勢をあげ、警察官の入場を阻止いたしまして、校内デモを行い、遂に午後3時20分ごろ群衆は長田区役所に向って行進を始め、しかも行進中アジビラを撒布いたしたので、遂に警察側が検挙を開始いたした次第であります。

隊伍のうしろの方から順次検挙を開始いたしたのでありまするが、この際群衆はあらかじめ準備いたしておりましたるこん棒、割木等を振りまわし、あるいは投石し、さらにポケット内に隠匿所持いたしておりましたとうがらしの粉末を投げかけまする等、乱闘となりまして、遂に選抜隊の約200名ぐらいは強硬に長田区役所に殺到いたしてこん棒、石ころなどで窓ガラス数10枚を破壊するの暴挙に出たものでありますが、警察側はこれに対しまして、遂にその181名を検挙いたし、長田署及び市警警察学校に分散留置いたしたものであります。しかしながら当日の検挙に際しまして、警察官の側におきまして31名、朝鮮人側におきまして26名の負傷者を出しております。

さらに翌11月28日、前日の被検挙者の取調べの結果と、その後の捜査の結果、本騒擾事件の首謀者と認められまする者17名が判明いたしましたので、逮捕令状を得て一斉捜索を行い同日中に12名を検挙いたしておるのであります。従いまして今川の検挙におきまして、現行犯として逮捕いたしました者は181名、後に通常手続によって逮捕いたしました者、12名、合計193名を今日までに逮捕いたしております。この内訳は大人の男が155名、大人の女が15名、子供が23名ということに相なっておるのであります。この子供の中には16歳未満の者15名がおりますので、これは即日釈放をいたしております。また18歳以下の者8名がおりましたが、このうち2名は即日釈放いたしております。また28日中には大人のうち5名だけを釈放いたしておるような次第でございます。

神戸市警察当局といたしましては、11月27日午前11時全署にわたり甲号非常召集を行いまして市内の警戒警備に当り、国警県本部におきましては同日午前10時15分本部員並びに5地区署に対して乙号非常召集を行って、警戒警備に当ったのであります。

取調べの状況につきましては、いまだ詳報に接しておりませんので判明いたしませんが、一応取調べは終ったような模様に聞いております。なお神戸地検からも次席検事以下3名が現地に出張し取調べに協力いたしており、また11月29日午後1時から10名の判事が出張して拘留尋問を行っております。

次に本事件の特異性といたしましては、第1には婦女子を動員いたしておるという点、第2にはデモ隊は初めから棒――棒と申しますのは、警察官の持っております警棒のごとく計画的にかしでつくったものであります、その棒であるとか、割木、すなわちたきぎ等を所持し、中には白はち巻をいたします等、十分戦闘態勢を整えて行動をいたしておったという点、第3には検挙者の大部分は他地区の朝鮮人自由労働者であって、地元朝鮮人はほとんどいなかったという点、第4には日本共産党員が背後で煽動いたしておるということは、一応考えられますが、彼らは、われわれは全然この事件には関係はないといって、逃げを打っている、これらの点が特質として見受けられておるのであります。

現在の状況と今後の見通しといたしましては、再び朝鮮人の一部におきましては、態勢を整えて反撃するという情報もありますので、厳重警戒をいたしてはおりますが、しかしすでに首謀者と認められまする者はほとんど検挙いたしておりますから、今後は大したことはないと、一応私どもとしては、かように考えておるのであります。

なお国家警察におきましては、28日午後4時一応警戒態勢を解除いたしたのでありますが、自治警察当局におきましては、引続き今日も警戒を続行いたしておる、かような情報を受けていることを御報告申し上げます。



[011]
自由党(自由民主党) 押谷富三
御説明によりましてほぼ明らかであります通り、当日の騒乱の原因、彼らの目的というものは、市民税の減免でありますとかあるいは警察の動員に対する反対でありますとか、生活保護法の即時実施であるとかいった政治面の要求も相当ありまするけれども、これは表看板であって、この実質は何としても反権力闘争であります。国際的な色彩も相当濃厚なものであると私どもも考え、国民の多くもそういうような考えをいだいておるようでありますが、この点についてどうお考えになっておりますか。

[012]
法務総裁(自由党) 大橋武夫
取締当局といたしましては、背後関係その他ただいま調査中でございまするので、確たるお答えはいたしかねる次第でございまするが、しかし私どもの感じといたしましては、ただいまお述べになりました点についてまったく同様の感想を持っておる次第であります。

[013]
自由党(自由民主党) 押谷富三
この背後関係はただいまお調べになっているようでありますから、これはお調べの後に承ることにいたしますが、この神戸事件と日本共産党の追放者との関係であります。

これは新聞の報道によりますれば、追放の日共幹部が地下にもぐってこの騒動に指揮を与えているというようなことが、重大な関連を持っていると伝えられております。これはまことに重要な点でありますが、日共の追放者志田重男君であるとかそういうような人々でありましょうが、こういうものとこの朝鮮人の騒動との間にいかなる関係があるか、この点について政府の御所見を伺います。

[014]
法務総裁(自由党) 大橋武夫
日共の追放幹部がこの事件の背後にあるという風説が伝えられておりまするようでございまするが、取締当局といたしましては、いまだこの事実関係については確認をいたしておりません。

[015]
自由党(自由民主党) 押谷富三
この事件の前後におきまして、関西の各地において同種の事件が起ったのであります。大阪、京都あるいは福知山その他において起っておりますが、この点について参考のために政府の御説明を願いたいと思います。

[016]
説明員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
ほとんど同種のような事件はただいまお述べになりましたような地域、なお滋賀県、それから大阪市、大阪市はこの翌日に警察の弾圧反対を標榜いたしまして運動会をやっているというのがございました。これは事前に禁止をいたしましたにもかかわらず、数100名が集まりまして相当気勢をあげましたけれども、ほどなく解散をさせられる結果になりました。

名古屋市におきましては、27日及び28日に、朝鮮人連盟の事務所あるいは朝連が以前に経営しておりました学校の接収問題をめぐりまして、接収反対の気勢をあげるべく数100名が集まりましてやはり暴行に近い事件を起しております。これらにつきましても数名検挙しているのであります。

その後28日には神戸の東神戸消費組合及び赤石の細江町無窮館にそれぞれ30名ぐらいの朝鮮人が集合いたしまして、何事か協議をした模様でありますけれども、特異な事案はありませんでした。

同日伊丹市におきましては、朝鮮人約20名が市当局に対しまして、先ほど法務総裁から説明せられたと同様な生活扶助要求を行ったのでありますが、これは大した事件にならずに退去をいたしました。

さらに28日に朝鮮人を含めた自由労務者が職安附近で越冬資金を要求いたしました。また同時にレッド・パージ反対のアジビラを散布いたしております。

29日には神戸市内でさらに朝鮮人50名が尼崎の方に向って動いた模様でありますけれども、具体的な事案は起りませんでした。

今日はさらに兵庫県の大久保町役場に約300名が押しかけまして越年資金等の要求をするという情報が入っておりまするけれども、ただいままではまだ特異な事態にはなっておらないのであります。

大体そういうような状況であります。





昭和25年12月07日 衆議院 本会議
[058]
自由党(自由民主党) 田嶋好文
最近、神戸、名古屋、大津、京都、神奈川、栃木、岩手その他全国的に、朝鮮人を中心とする日本共産党の組織的な内乱事件ともみなすべき事件が発生いたしております。また今後も同様事件が続発せんといたしておりますので、私は自由党を代表いたしまして、政府当局にその所信をたださんとするものでございます。

まず神戸、名古屋、大津の事件でございますが、新聞の報道その他の調査資料によりますと、神戸におきましては、11月27日、兵庫県下各地区から約1000名以上の学童、婦女子を含む朝鮮人が合流いたしまして、警戒に当っておった警官隊と衝突したのでありますが、この事件は、戦後日本各地で起りました朝鮮人事件の中でも、その類のないほど大々的なものであったのでございます。彼らは、当初から警官隊と衝突する態勢を整えまして、かし捧、鉄の棒、れんが、目つぶし用のとうがらし等を用意しておったのでございます。特にその組織化された暴動的な点が今回の特徴であり、われわれ国民の見のがすことのできない点になっておるのでございます。

次に名古屋でございますが、これも非常に組織的に訓練せられたものと思われますところの14歳未満の朝鮮の児童200~300名が、11月27日、28日と、神戸に相呼応して愛知県庁に押しかけております。そして窓ガラス等を破壊しておるのであります。

大津におきましては、12月1日、大津地方検察庁を、約200名前後のものが再度にわたって襲いまして、警官隊と大乱闘を演じ、わが検察史上類のないところの大事件を引起しておるのであります。

これらはどれもこれも、表面的にはレッド・パージ反対だとか、住民税撤廃(「レッド・パージをするからだ」と呼ぶ者あり)生活保護法の適用、食よこせ等の運動となっておるのでありますが(「失業者があるからだ」と呼ぶ者あり)今回の事件が旧朝連系の朝鮮人を中心といたしまして、(発言する者あり)背後に日本共産党が動いているかのごとく想像せられる組織的な、計画的な暴動事件である点よりいたしまして、私たちは、現在朝鮮で行われつつありますところの戦争とこれを切り離して考えることができないのであります。

遺憾ながら現在朝鮮の戦況というものは、マッカーサー元帥その戦局談に言っておりますように、まことに国際連合軍にとって不利な立場にあります。しかもこの不利な態勢は、なお今後続くものと予想されなければならぬのでありまして、これが続くものといたしますならば、共産国家と一衣帯水を隔てております日本の現在の国民に対して与えますところの不安は大きなものと考えなければならぬのであります。この日本国民に与えているところの不安を共産党がいかに利用しておるかということは、これは想像にかたくない点でありまして、この不安を利用することを知らないようなものは、共産党ではないでありましょう。

この点から考えまして、私たちは、最近日本共産党は地下組織の編成を終ったと漏れ承っております。また最近における共産党諸君のこの議会における言動、これと照し合せてみますれば(発言する者あり)私たちは何としても今回の騒乱が共産党とつながるものであることを考えざるを得ません。また今回の騒乱は、日本共産党が本格的な反米闘争、しかも権力闘争に乗り出したのであって、しかも今回は、従来のものと違いまして……(発言する者あり)従来のものとは違いまして、暴力革命の……。

[059]
福議長(自由党) 岩本信行
御靜粛に願います。

[060]
自由党(自由民主党) 田嶋好文
暴力革命の実行段階に移ったと、こう喝破して誤りでないと思うのであります。(拍手)





昭和25年12月09日 参議院 本会議
[013]
日本共産党 須藤五郎
私は日本共産党を代表して、最近神戸市に起ったところの朝鮮人事件に関し、吉田総理並びに大橋法務総裁に質問いたしたいと思います。

先ず最初質問に先立ちまして、なぜかくのごとき事件が神戸に起きたか、我が党が調査したところの真相をここに述べまして、政府当局及び同僚諸兄の御参考に供したいと思います。

事の起りは去る11月17日神戸市長田区役所に14~15名の朝鮮人が訪問し、生活保護法の適用と完全就業及び市民税の減免の交渉に参ったのであります。その時に区長は各個人に対しまして調査の上善処すると約束したのであります。

その後20日になりまして、再びその約束の実行されるよう督促するために区役所へ参りましたところ、今度はその中の3名を検束し、合法的な交渉に対しまして意識的な弾圧を以て臨んで参ったのであります。当日その3名のうち2名は釈放されましたが、1名は留置して帰さなかったのであります。

そのために、24日になりまして、前述の要求に検束者を釈放して欲しいという1項目を加え、これを区長に示し、協力方を要請したのであります。そこで区長もこの要請を容れて、共に長田警察署に行ったのでありますが、その交渉の留守中に、警官200~300名を動員し、ぶつ、蹴る、殴るの弾圧を始めたのであります。

これを聞き伝えましたところの朝鮮人は、自分たちの父母や兄弟たちの安否を気遣いまして、朝鮮人経営の西神小学校で授業中の子供たちまで先生の阻止を開かずに駆けつけたのであります。

これに対しまして警官諸君はどんな弾圧を加えたか。即ち14~15歳の女の子供を椅子に縛りつけたり、又手錠をかけたり、胸を泥靴で踏んだり、ひどいのは12~13歳の子供の手を折り、又お母さんに抱かれていたところの赤ん坊の頭まで殴って負傷させたということであります。





昭和26年02月01日 参議院 地方行政委員会
[006]
委員長(無所属) 岡本愛祐
次に、昨年12月17日より23日に亘りまして、神戸、京都、大津、名古屋における朝鮮人自由労務者その他の騒擾事件の調査に、本委員会から吉川(※末次郎。日本社会党)、竹中(※七郎。国民民主党)、石村(※幸作。自由党)の3委員に御出張を願いまして御調査を煩わしたのであります。その御報告を承わりたいと存じます。

[007]
日本社会党(社会民主党) 吉川末次郎
只今委員長のお話がありました神戸、京都、大津及び名古屋、当時なお膝元の東京都においても同様な、主として朝鮮人を中心といたしますところの一種の騒擾事件が起りまして、院議に基きまして我々3人が神戸、京都、大津、名古屋に出張を命ぜられまして、その事件のいきさつ等につきまして、調査をいたしました結果について御報告申上げたいと思うのであります。

我々はその間現地におきまして、自治体警察、国家地方警察、並びに検察当局及び知事、市長その他多くの関係者に面接いたしまして、これにつきまて事情をいろいろと聴取いたしまして、大体におきましてその事件の全貌は把握することができたと思っておるのであります。

我々が調査いたしましたところの具体的な内容につきまして、ここに調査報告書を大体用意いたしておりますが、つぶさにそのことをば詳しくお話申上げるということは冗漫にもなりますし、又相当時間を要するかと思いまするので、その調査に参りました4つの地域、特に神戸市に起りました事件につきまして、やや詳しくお話を申上げまして、大体において共通点が非常に多いのでありますから、それについて御了知を得まして、他の地におけるところの事件の内容につきましては、この報告書を速記録にそのままお載せを願いまして、それによりまして詳細のことは御了解下さるように委員長にお取計らい願いたいということを先ずお願い申上げる次第であります。

それで今申しましたごとく、神戸の事件の内容につきましてお話し申上げて見たいと思うのであります。

朝鮮事変が発生いたしましてから、神戸地方の、以前、民青系と言われておる、民主主義青年同盟でありますか、民青系と大体言われておるのでありますが、その系統に属しておりまするところの朝鮮人は、日鮮共同の反帝闘争、即ち帝国主義反対闘争という名によるそうした運動のために、特別工作隊と名付けるところの団体を結成いたしておったのであります。それは専ら青年行動隊とみなすべきところの、行動を目標に置きました一つの団体でありますが、それによりまして、国連に対するところの反対的な秘密活動を朝鮮人のこの団体が続けておったのであります。

ところが昨年の10月に入りますると、その特別工作隊を組織いたしまするところの青年層のほかに、前の朝連系の幹部、それから朝鮮人の父兄会等の北朝鮮系の勢力をば一体化しまして、そうして名目といたしましては、レッド・パージの反対、反税即ち税金の徴収及び増徴等に対するところの反対運動であります。反税運動と一般に言っておるのでありますが、それから越年闘争、即ち越年資金をよこせというようなことを目標にいたしました反税越年闘争に朝鮮人のすべての生活闘争をからみ合せまして、そうして活溌な動きを示して来まして、地方におきまして治安上、看過しがたい情勢を呈して来たのであります。

11月の下旬頃からこれらの朝鮮人は神戸市内の市の各区役所に押しかけまして、朝鮮人に対する市民税を全免せよ、或いは朝鮮人に対するところの生活保護法の適用というようなことを要求項目といたしまして、波状的に集団的な陳情を行いまして、旧朝連系の幹部や、先に申しました特別工作隊員等が、これを指導するような模様でやったのであります。

特に神戸市の長田区の区役所の管内というものは、ゴム工場等に働いておりました朝鮮人が特に多いのでありますが、その登録数は7623名、神戸市内に朝鮮人労働者が居住いたしておりますその約半数であります。それからそこに更にそれ以外の移住者約1000名を加えまして、約9000名が朝鮮人として在住しておるのでありますが、今申しましたようにこの長田区役所に押しかけましたところの陳情運動が、外の地区に行われましたよりも特に激しいものであったということができると思うのであります。

11月の20日には朝鮮人65名、同じく生徒約200名が今申しました長田区役所に押しかけまして、形勢が不穏となりまして、出動いたしました警察官は公務執行妨害の現行犯といたしまして、全相福という朝鮮人を警察のほうでは逮捕いたしたのであります。

11月の24日には、約300名の朝鮮人及び朝鮮人の生徒が2隊に分れまして、1隊は教師に引率されまして、長田警察署に押しかけました。そうして先に申しましたところの全相福というこの警察が逮捕いたしました朝鮮人の釈放を要求いたしました。

そうして2隊の中の1隊は長田区役所に集団示威行進を行いまして、革命歌を盛んに合唱いたしまする等のことで気勢を挙げまして、午後は約30名の朝鮮人が区長の部屋に入って参りまして、内外呼応して喧騒を極め、区長が出て行けというところの退去の要求にも応じないで、朝鮮人の生徒数10名は区役所の庁舎内に侵入しまして、窓ガラス或いは区役所の什器等を破壊する等の暴行を働きましたがため、26名がそのために逮捕されたのであります。その26名の中には日本人も若干名含んでおるのであります。

なお当日は、以上のほか葺合区役所、それから葺合警察署、長田税務署及び長田警察署、生田県税事務所及び灘区役所の各地に先に申しましたような形においての集団陳情が行われたのであります。

11月の27日には、朝からこの西神朝鮮人学校という朝鮮人の学校、西神というのは西と神戸の神であります。朝鮮人の父兄や生徒が続々集合しておるというところの情報がありますし、更に又姫路地区、相生地区、大久保町の方面から神戸市に向ったというところの情報がありましたので、神戸市警察局は緊急事態に備えて、神戸地方検察庁、国家地方警察側とも連絡して警備体制を整えておったのであります。

午前10時過ぎに、学校におけるところの集団は約400名に達しまして、前回の事件で勾留中の被疑者の釈放要求と、生活保護の陳情を行おうと気勢を挙げますと共に、これらの朝鮮人と呼応していると認められるところの自由労務者、それから民主商工会の会員、それから朝鮮人らは市内の各税務署、区役所等に集団陳情を名として押し寄せまして、警察力の分散を企図しておるというように考えられるので、午前11時に神戸市警察局長は甲号非常召集を発令したのであります。

同日正午頃になりまして、今申しました西神朝鮮人学校の朝鮮人の集団は、代表者を選びましてそれぞれ神戸市役所、長田区役所、神戸地方検察庁等に対して、前に言いましたような要求の交渉を始めたのでありますが、学校の中におきましては刻々参集者の数を増加して参りまして、ここに集まりましたところの朝鮮人らは手に手に棍棒、或いは薪のようなものを携えまして、そうして学校の校庭には石ころ等を投げるために用意して、そうして不穏の形勢を示し、特に白鉢巻をしましたところの青年約150名が中心となりまして、スクラムを組んで行進の演習をしまして、実力行動に移行せんとするところの徴候が極めて顕著であるという情報が入って来たのであります。

午後3時頃には、約900名の集団となりました学校内の朝鮮人は、三列縦隊のスクラムを組みまして、解放歌を高唱し、梶棒、薪など、先に申しましたような兇器を振りかざしまして同校の南門から表通りに出まして、北のほうに行列して進んで、行進を始めたのであります。

学校附近に警察隊が待機しておったのでありますが、警察隊はその後方から追尾していましたところ集団から警察隊に向って猛烈に石を投げるようになりましたので、そこで警察隊は、この行列をして行進をしておりますところの石を投げた者の検挙に移りまして、ここで警察隊とこの朝鮮人の行列行進隊との間に大乱闘が行われて、そうして激しい抵抗を排して警察隊は現場で約120名の朝鮮人を逮捕したのでありますが、残余の朝鮮人集団は、沿道の民家、巡査派出所等に投石いたしまして、警察を誹謗いたしますところのビラを撒き散らしまして、そうして途中警察官と衝突しながら長田区役所前広場に至りまして、同区役所及び隣接の長田税務署に石を投げ、梶棒を振ってこれを襲撃し、窓ガラス等を破壊したのであります。

午後4時頃、計181名に達する大量検挙によりまして漸く暴徒を鎮圧することができたのであります。夜になりまして更に12名を逮捕いたしましたので、逮捕いたしました朝鮮人の総数は193名になっておるわけであります。

この騒擾事件の負傷者は、警察側では50名、朝鮮人側では37名というところの報告を警察当局から現地におきまして聞いたのであります。逮捕しました者は取調べの結果、98名が騒擾罪及び政令第325号の違反として起訴されたのであります。

これが神戸の事件でありますが、大体他の地域におきましても共通点が非常に多いのであります。併しながら必ずしもその要求いたしておりまするところの事柄、或いはそのときの暴動の起りましたことについての、闘争の題目といたしておりまするようなことは違っております。又京都のごときは、それに自由労働者及び京都大学の学生を中心とするところの学生隊等も参加いたしておりまして、朝鮮人だけの運動ではないのであります。ただ併しながら時を同じくしてそれが行われており、その闘争の題目、或いは闘争の様相は多少違っておりますけれども、目標にいたしておるところは大抵同じものがあるだろうと思われるところに、極めて重現すべきところの点があるのではないかと考えるのであります。

(略)





昭和26年02月02日 参議院 厚生委員会
[022]
委員長(日本社会党) 河崎ナツ
去る12月中に議員派遣をいたしまして調査を行いました神戸、京都、大津、名古屋各地方における朝鮮人騒擾事件に関連いたしまして、生活保護法の適用の実情について、派遣議員の報告をお願いいたしたいと存じます。

最初の2カ所は、参りましたのは私(※河崎ナツ。日本社会党)と藤森(※眞治。無所属)委員でございますが、最初の2カ所は、事情で私が報告させて頂きます。

調査報告。

昨年11月及び12月、神戸市その他各地で発生いたしました朝鮮人を中心とする騒擾事件の端緒は朝鮮人に生活保護法の適用を要求するという理由で、県庁、市役所等にデモを行なったのでありますので、当厚生委員会におきましては、その実情を調査するために議員を派遣することに決定せられ、旧臘(きゅうろう)20日から7日間に亘りまして藤森、河崎両委員、なお多田専門員、浅原参事等を同行いたしまして、愛知、滋賀、京都、兵庫の1府3県に出張をいたしたのであります。なお愛知県、滋賀県には松原(※一彦。無所属)委員、京都府、兵庫県には大谷(※瑩潤。自由党)委員が参加せられたのであります。その概要を御報告申げたいと思いますが、各地の事情を御報告いたします前に一言申上げて置きたいことは、朝鮮人と生活保護法の法律的関係でございます。

御承知のごとく生活保護法による保護の受給権は、日本国民は、原因、人種、性別、社会的身分等の如何を問わず平等無差別に賦与せられておるのでございまして、朝鮮人も現在においては国際法上も又国内諸法規の上からも日本国民であると解釈せられておるのでありまして、従って朝鮮人も本法による保護を受くる権利を有しておるのであります。

併し法第10条に明記しておるように、保護は飽くまでも世帯を単位として要否を定めるものであり、集団的取扱をすることはできないのであります。従って朝鮮人に法の集団的適用を要求されても、保護法の立場からは、それは問題にならないのであります。

今回の騒擾事件に関連して、各地とも新しく従来言われなかった生活保護法の集団的適用の即時要求を主要項目として掲げて来ているのでありまして、我々としてもこの点に深く関心を持たざるを得なかったのであります。

(略)

以上の次第でございます。

[023]
無所属 藤森眞治
後半の京都府、兵庫県の分を御報告申上げます。

(略)

次に、兵庫県の概況を申上げます。

先ず朝鮮人の生活保護の概況を申上げますると、兵庫県内在住の鮮人は、その数が大阪に次いで多いのでありまして、11月末現在で登録した者が5万3000人であり、その他無登録者を入れますと大体6万人と推定せられるのであります。そのうちの2割が南鮮系韓国人で、8割が北鮮系の朝鮮人である。そうしてこの韓国人として登録することを嫌って、南鮮入であるが北鮮人として登録しておる者もこの中に相当あるようである。神戸市内に住居しておりまする者は大体1万6500人である、その半数近くの7622人が騒擾事件の起きた長田区内に住んでおります。

昭和24年の朝鮮人連盟解散を契機としまして、生活保護の集団要求等の問題を起しましたが、県当局としてはできるだけ十分な調査をして、適正な保護をするように努力しておりますので、現在634世帯、2957人が保護を受けておる。これに要する保護費は月額200万円程度でありまして、漸増の傾向を示しております。併し昨年11月20日の神戸市長田区における騒擾事件までは、特に取り立てるような問題は起らなかったのでありますが、最近生活保護の問題を取上げておりまするが、これはむしろ生活問題と言いますよりも、政治問題化して、これが進んでおる傾向が強いのであります。

御承知の通り、神戸市には第三国人、外国人の居住する者が相当たくさんおります関係上、終戦後密貿易とか、或いは闇取引等の根源地とさえ言われるような状態もございまして、殊に朝鮮人もそのうちの大きな役割を務めておるのであります。そうしてこの兵庫県に在住しておりまする朝鮮人は、お隣りの大阪府に住んでおります朝鮮人に比較いたしますると、経済力も弱く、そうして浮浪性を帯びた者が多い。そうして常にこの朝鮮事変の動向に支配されて、戦局が現在のごとき段階になりますると、中共侵入が今にも行われ、人民政府ができ、人民裁判にかけられるというような声に脅やかされて、常に行動しておるような状態でございます。

次いで騒擾事件の概況を申上けます。

神戸市におきましては、歴史的に見まして、昭和23年4月に鮮人学校接収問題にからんで、多数の鮮人が県庁に押しかけ、知事以下検事正等もだと思っておりますが、知事以下を監禁して騒動を起した、いわゆる第一次神戸事件がございます。更に昭和25年5月に神戸市公安条例を施行する際に、これに反対して、市議会に乱入した事件がございます。

昨年9月の初旬頃から朝鮮動乱の戦況の推移と、10月以降の民間企業におけるレッド・パージに伴う抗争の動向の一環と考えられるところの北鮮系朝鮮人の活溌な動きが顕著となりまして、県下において地下工作隊の秘密反占領軍的団体が結成されました。そうして反戦ビラの撒布、神戸電報局の不法侵入事件等の各種の実力行動に朝鮮人が傭兵的に駆り出されておる等、治安上見逃し得ないところのものが起っておるのであります。

ところが11月上旬頃から、神戸市及びその周辺の朝鮮人は神戸市内各区役所に押し寄せて、第1に市民税の全面的免除、第2に全朝鮮人に生活保護法の適用を行えという、この2つの項目を要求して、波状的に集団示威運動を行い、集団陳情をするに至ったのであります。

更に神戸市内の長田区に西神学校という朝鮮人のみの小、中学校がございます。この経営が旧朝連系の者によって行われておりますので、自然そこの生徒の思想も極めて不穏であります。約350人の全生徒が左翼教員に指揮されて集団示威を行い、集団的陳情に常に使役されておるのであります。即ち生徒がこういう騒擾に使われておるということであります。

兵庫県には神戸に2つの学校と、姫路に1つの朝鮮人のみで行われておる学校があるのであります。これは朝鮮人父兄が経営しておる形でありまして、解散させなかったのがそのまま現在では集団暴動の訓練所、或いは工作隊員の訓練場となっておるとも見られるような状態を呈しておるのでございます。

そこで今回の騒擾事件の発端となる事件が2件、11月中に発生したのであります。

その1つは全相福の公務妨害事件というのがあります。これは11月20日朝鮮人の男女65名が長田区役所に押しかけて、前記のような要求を掲げて区長と強談中、朝鮮人生徒200名が教員に引率されて区役所前に集まって、警察官約70人の出動によりまして退去させましたが、外国人登録証のない者を検挙して、護送自動車にその2人を乗せたところ、全相福という者が生徒約20名を指揮して、スクラムを組ませて、命令を下して自動車の前に立ち塞がり、或いはタイヤに抱きつく等の行為をさせて、自動車の発進を不可能にしたのでございます。そうして同人を現行犯人として逮捕いたしました。これが全相福事件であります。

次に、長田区役所の集団不退去事件、これは11月24日に、先ほど申しました西神学校に集合した300名の学童が2つの隊に分れて、1隊は教員4名に引率されて長田警察署に至り、先ほど申しました全相福の釈放を要求いたしました。1隊は長田区役所に集団示威行進を行いまして、革命歌を合唱する等、気勢を挙げておりました。そうして区長室に代表者が30名入りまして、内外呼応して喧騒を極めました。そうして区長から退去要求を出されたが、これに応じないで、遂に区長室の窓ガラス、什器等を破壊したので、日本人、朝鮮人26名を現行犯人として逮捕いたしました。但し、ここには朝鮮人だけでなく日本人も入っておりました。又長田警察署前においても、警察官20名を載せたトラックの前方に生徒等とスクラムを組んで立ち塞がり、これを阻止しました女教員1名を即時逮捕しております。

その次が、今回の騒擾事件になるのでございます。11月27日は、朝来西神学校に父兄、生徒が続々と集合し、更に姫路地区から約100名、いずれも兵庫県下でありますが、相生地区から約50名、大久保方面から150名の朝鮮人が続々と神戸市に向いました。午前10時には約400名の集団となり、勾留中の被疑者の釈放要求と、朝鮮人の生活保護に関して陳情して気勢を挙げ、更に神戸市内の各所の区役所、税務署に集団陳情をいたしました。でこれによって警察力の分散を企図していたのでございます。

午前11時神戸市警察局長は全員2201名の非常召集を発令いたしました。

そうして正午頃西神学校の集団はだんだんその数を増し、手に棍棒、薪を持ち、校庭には白鉢巻をした青年約150名が中心となり、スクラムを組んで、行進の演習をしていました。而も棍棒は先端を鋭く削って槍先のようにしたもので、これは平素からその学校に備え付けてあったものと思われるのでございます。それで神戸市警はこれに解散を命令いたしましたが、これに応ぜぬ場合には実力による解散を企図しておったのであります。

午後3時頃には、学校に集結した鮮人は約900名となり、三列縦隊のスクラムを組んで、解放歌を高唱し、手に手に棍棒を持って表道路に出て行進を始めました。学校附近に待機していた約200名の警備隊が追尾していましたところ、これに激しくその集団から投石するに至ったので検挙が始まりまして、ここに大乱闘となった。この現場で約120名の鮮人が逮捕されましたが、残余の集団は更に行進を続けて、沿道の民家、警察官派出所等に石を投げ、ビラを撒布し、長田区役所、長田税務署に参りまして、又投石、襲撃して、窓ガラス、扉を破壊し、約80名が警察官と格闘のあげく逮捕されたのであります。

その他の者はちりぢりばらばらに四散いたしまして、同日午後5時頃暴徒は完全に鎮圧されたのであります。本件騒擾での負傷者は、警察側51名、朝鮮人側26名の多きに達しております。更に同夜本件の首謀者と目される鮮人12名を逮捕し、総逮捕者数は193名に達しております。

今回の事件は、前に申しましたように、その使用した梶棒等を鉾のように鋭利にして、数100本を平素から準備してあり、又検束された朝鮮人が神戸市以外の各地、特に姫路市居住の者が多かったこと、その他いろいろ申述べました点で御想像のつくように、あらかじめ各地に十分に連絡をとって計画的に断行したことが窺われるのであります。

第3に、朝鮮人の生活保護要求の状況を申しますると、11月の20日以来この問題が再燃して、各地において保護の強要が行われておるが、今回の問題の特質は、県当局の説明によりますと、次のように説明されております。

第1は、元朝連幹部、共産党員が代表となり、集団的に保護の強要をしておる。

第2は、要求事項の主題は、生活保護法の一斉適用と共に応急一時金品の給付であります。

第3は、代表者は法律制度を相当研究しておる模様で、交渉は長時間執拗を極めておる。

第4は、交渉に当っては脅迫的言辞を用い、市町村に対して暴力をも辞せない態度をとっておる。

第5は、提出された保護申請書を検討するに、すでに保護を受けておる者もあり、明らかに個人の自由意思に基いたものでないことが推測されるものがあるのであります。

第6に、申請に基く、実地調査に際しては、十分な協力は認められず、多数が集合して調査を妨害しておるという事実があります。

第7に、申請者は調査に際して、自己の不利と思われることについては日本語がよくわからないと言って、これを短絡しております。

第8に、生活状態調査は複雑を極めて、経済実態の把握が誠に困難であります。世帯主が検束されておる場合は、殆んど収支状況がわからない。

第9に、申請者が申請に基く実地調査に非協力的である点から、真に各個人が生活に困窮して申請をしたものか否かを疑わしめる者が相当多い。

第10に、各般の情勢から察して、支給される生活保護費が果して申請者各個人の手に渡っておるかどうかということに疑問とされる点があるのでございます。

只今申しましたような状況に対して、市町村のとっておる態度は次の通りであります。

第1に、保護は集団強要さるべきものでないから、個別面接すべき方針を示しておる。

第2に、応急一時金品の要求には、結果においては応じておりません。

第3に、申請者に対する実地調査には非常に危険が感ぜられるのでありますが、刺戟を避けるために警察署員等は帯同して行っておりません。

第4に、法の適用については、厳密な解釈の下に、いやしくも手続の不備、調査に対する非協力等はこれを是正させると共に、法の罰則適用を考慮する。

第5は、老齢者等にして、真に日本語を解せない者のために、朝鮮語の堪能な者を嘱託する予定である。

以上の通りに申しておりまするが、今後も阪神間の市町村において問題を惹起する気運もあり、又自由労務者も合流して生活保護を強要する者が増加することを県当局は憂慮しております。その実例といたしまして、

第1に、神戸市役所における集団強要というものがある。これは昭和25年11月24日、自由労務者風の者が約15名厚生課長のものに至り、浮浪者収容施設に入所させることを要求した。

第2に、神戸市長田区の民生安定所におきましては、11月20日、24日の両日いずれも朝鮮人男女60名が出頭し、生活保護法の即時全面的適用を強要したのであります。

第3に、神戸市葺合区民生安定所では11月24日朝鮮人約60名、生徒約100名が来所しております。そうして保護法の即時適用、昼食代並びに夕食代を支給することを要求しましたが、拒否され、約4時間係員を軟禁状態に陥れております。

第4に、神戸市生田区民生安定所におきましては、11月25日、27日弁天浜自由労務者20数名(主として鮮人)が来所しまして、生活保護法の全面適用その他を要求しております。

第5は、神戸市灘区民生安定所に朝鮮人約15名が来所いたしまして、生活扶助、医療扶助、の即時給付を要求しましたが、個別面接以外相談に応じかねると拒否しましたところ、一時騒然となりましたが、5世帯の申請手続を了して退去しました。

第6には、姫路市役所、前に申しましたように、神戸市長田区における事件で検束された朝鮮人は姫路市居住の者が最も多かったのでありますが、姫路市においては長田事件の検束者家族が世帯収入の中心者を拘留された結果、生活困窮に陥ったことを理由として、12月7日代表者8名が来て、生活保護法の適用を要求し、翌8日には家族60名を伴い、同様な要求をいたしました。これに対し、集団交渉を拒否し、個々に申請さるべきであると回答いたしましたところ、爾来83世帯512人が申請して参りました。神戸事件関係者は26世帯140人でありまして、目下調査中ということでございます。

第7に、伊丹市役所、ここでは11月の27日朝鮮人約30名が来庁して、代表者8名が助役に面会をなし、11月に生活扶助を廃止せるもの、又減額しておるもの、及びこの以前に廃止しておるものに即時法を適用せよ等の要求をしております。そうして12月16日に鮮人100数十名が来庁して、第1に、生活に困っている者に無条件に生活扶助をせよ。第2に、来庁中の者に対して直ちに速決で扶助を支給せよ。第3に、失業対策労務者に全面的に医療扶助を適用せよ等々の要求をいたしまして、交渉中騒然となり、退場を命じましたところが、これに応じないので、12~13名が検挙せられております。

第8に、明石郡大久保町役場であります。同町居住朝鮮人が年末資金等の集団要求に端を発し、15名ほど検挙留置されていたのでありますが、12月4日にその家族30名が参りまして、町長を軟禁状態に置いて、保護法の適用を町長に強要いたしております。

以上のような状態で、兵庫県におきましては、この問題に関して次のような意見、要望がございました。

第1に、騒擾事件関係者を朝鮮に送還できるような法的措置を講じてもらいたい。

第2に、生活保護申請に基く調査に当り、朝鮮人嘱託を採用することを全国的に認め、その経費を国庫から補助してもらいたい。

第3に、旧生活保護法第2条では、能力があるにもかかわらず、勤労意思のない者、勤労を怠る者、その他生計の維持に努めない者には保護をなさないことになっていたが、そういう趣旨の規定を制定してもらいたい。現行法第4条ではこの趣旨が不十分と思われる。

第4に騒擾事件に鑑みて、浮浪者に対する根本的、総合的施策を講じてもらいたい。

こういう県当局の意見、要望がございました。

以上が報告の概要でございます。





昭和29年04月27日 衆議院 地方行政委員会
[046]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
それではこの8件の事件の概要を申し上げます。

(略)

次に11・27朝鮮人騒擾事件と申しまするのは、昭和25年の11月24日及び27日の事件でありますが、旧民戦系の朝鮮青年は共産党の指令によりまして、特別工作隊を結成いたしまして、反国連的秘密活動を続けて参ったのでありますが、特に朝鮮人学校父兄会を唯一の保護団体として朝鮮人を組合いたし、闘争を続けて参ったのであります。

12(※11)月20日長田区役所に対するデモに際しまして、1名検挙いたしましたことによりまして、12(※11)月24日、中学生300名を含む600名くらいが、長田区役所、長田警察署の3隊にわかれまして押しかけて参って、警察を牽制しながら、長田区役所で暴動化をいたしましたために、同所で26名を検挙いたしたのであります。

その後これらは長田警察署に大挙して押しかける等の挙に出たのでありますが、12(※11)月27日に至りまして、広範囲に姫路、明石等よりも多数動員をし、約8000名ぐらいが西神戸朝鮮人学校において大会を開催いたし、その後長田区役所に向けてデモを開始いたし、警備警察官の解散警告に応ぜず、白はち巻をいたしまして、決死隊と称する凶暴な一隊は、れんが、小石を投げつつ反抗をいたしまして、長田区役所において暴行するの挙に出でましたので、警察官1320名を市警が招集をいたしまして、一斉検挙に着手し、193名を検挙いたしたのであります。この際に警察側が51名、暴徒側が31名負傷をいたしたのでありますが、その事件であります。





https://ja.wikipedia.org/wiki/長田区役所襲撃事件






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