台東会館事件

昭和25年03月25日 参議院 予算委員会
[077]
日本共産党 岩間正男
次に伺いたいのでありますが、台東会館の、最近の朝鮮人弾圧事件であります、これは法務総裁いらっしゃいますか。あれはどういうような工合によってあのような騒擾事件が起されておるのか、これに対して……

[078]
委員長(自由党) 山田佐一
総理の分だけを願います。

[079]
日本共産党 岩間正男
総理に伺います。総理はあのような騒擾事件に対して、どのような見解を持ち、どのように処理されますか。

[080]
内閣総理大臣・外務大臣(自由党) 吉田茂
法律の基定によって処理いたします。

[081]
日本共産党 岩間正男
法律の基定と言われますが、この前の朝連解散の問題もこれはあったのでありますが、そうしてあのような一方的にこれを強制接収する、而もこれは財産まで取上げるということをやったんでありますが、それに対してこれは朝鮮人の諸君がこれを東京地裁に訴えられた。この不当について訴えられた。併しそれに対してはっきりとこれは日本の裁判権に属しないというので、これは第2回の公判だと思いますが、そこで却下された。

そうすると私はここで問題にしたいと思うのでありますけれども、一方的にそういうような行為は行使する、而もそれは日本政府の責任においてやるというておいて、その結果の救済規定というものについては全然これは顧みられない。日本の裁判においては全然これは裁判できないのだから勝手にするがいい。これを突破してしまう。

この問題が一体どのような国際的にも影響を与えるかどうかという問題です。これが果してこのようなやり方をやっておって一方で全面講和を口にしてもこれは全く全然根拠のない、裏付のないものになりはしないか。このようなことが果して今後東亜との修好を結んで、そうして東亜の繁栄の中に生きて行かなければならないことを当然運命付けられておるところの日本にとって果していいものか。更に講和を促進するためにこのようなやり方というものは果して効果的であるかどうかこの点……

[082]
内閣総理大臣・外務大臣(自由党) 吉田茂
主管大臣からお答えいたします。

[083]
日本共産党 岩間正男
私は政治責任について聞いておるのでありますから、法務総裁の答弁は後に廻して貰いたい。

[084]
内閣総理大臣・外務大臣(自由党) 吉田茂
講和は講和、法律の規定によって政府は行動する。これは政府の義務でありますから、法律の命ずるところによって万事処置いたします。

[085]
日本共産党 岩間正男
今度の騒擾事件ですね、あの関係者のなにを聞きますというと、例えばあそこの台東区長、それから警察署長も朝連の財産ではないということをはっきり認めておる。こういう事実があるのですが、これに対して朝連の財産なりといって強制執行するというこのやり方はどうでしょう。

[086]
法務総裁 殖田俊吉
朝鮮人連盟を解散いたしましたのは昨年の9月でありまして、そのとき直ちに台東会館は連盟の所有の家屋であると考えたのでありますけれども、朝鮮人側におきましていろいろと証拠らしきものを持って参りまして、これは連盟の財産ではないという主張をしたのでありますから、連盟の財産であるということは確実でありましたけれども、これらの主張を一々聞きまして、一遍全部これを調べ直したのであります。調べ直しました結果、如何にしても朝鮮人連盟の財産であるということが客観的に動かせなくなったのであります。

そこでこれを接収を実際にやらなければならないということになりました。ところがその接収すべき家屋の中に住居しておる者が約20数人おったのであります。そこでこれらの人を立退かせませんければ接収が完全に参りませんから、そこでそれらの人のために別に所を作りまして、そうして住居を拵(こしらえ)えましてそこへ移すことを明示いたしました。そうして移って呉れということを頼みましたのであります。ところがどうしても移らず、移らなければそれは政府の側においてこれを移す、荷物をまとめまして、そうしてそこへ運ぶということまでやるという話をいたしたのであります。最も穏やかな方法で、最善を尽してこれは接収にかかったのであります。

若しこれをいろいろな文句があるから接収をしないことでありますれば、あの法律の規定が無効になるのでありまして、法律を厳正に執行する立場からいたしまして到底許可することができない。全国数10ケ所或いは数100ケ所の連盟の財産について同一なことが起り得るのでありますから、法律の飽くまで規定するところに従って処置をする。併しながらいろいろな影響がある。その影響は最小限度にこれを止めたという折角の苦心をいたしたのであります。

ところがこれを聞きました朝鮮人側におきまして、あの当日接収を決行いたしましたときに、数100名の朝鮮人が集まりまして、そうして家の内外に屯(たむ)ろしまして、そうして家の中に200人ぐらいおったそうです。僅か75坪の建物であります。そういたしましてこれを接収に参りました者にこれを拒絶し、保護して参りました警察官に対して煉瓦のかけを投げる、板を投げる、板切れを投げるというようなことで、結局これを防衞しますために騒擾のような形になったのでありまして、これは甚で遺憾でありますけれども、何ら政府の処置に手落ちはなかったのであります。

これが朝鮮人側においてこれに抵抗し、これが騒擾になったからと申して少しも政府の側に責任はないのであります。これを責任があると申すならば、責任の所在は到底明らかにならんのであります。

従ってこれらの騒擾を起した朝鮮人側約100数十名を検束いたしまして取調べました結果、これは告発すべきものと警察で考えまして、只今告発になって、検事局において只今それを十分に調査いたしておるような次第であります。

少しもその間に不当とか弾圧ということはなかったのであります。昨年の9月からこの3月まで、実は長い期間を置いてこれを調整しておったのであります。

[087]
日本共産党 岩間正男
今のお話だけでは辻褄が合っているように聞かれますけれども、要するにこのような、朝鮮人に対する、つまり外国人に対するところの政府の基本的な政策が問題なんです。今のお話ではこういうなにを作ったからそこに移れ。併しその家が一体どういう条件であるか。この条件が果して満されておるのであるか。本当にこれを保護するという立場からしたのであるか。まるでこれを隔離するという立場からしたのであるか。

更に今までの朝連の解散に対して納得してできないからといって、これに対して提訴している。これを一方ではそのように強制執行しておるのであったなら当然に保護規定をとって、この裁判を受けて、その結果を明らかにするというのが日本政府の立場でなければならない。然るにそういうことはしない。

又一方に外国人の登録なんかの例を聞いたのでありますけれども、これは最近、例えば手帳のようなものを持って歩いて、実に厳重です。風呂場に行くまであれを持っていないととても身動きもできないというような情勢が私達に訴えられておるのであります。こういうような、基本的に一体このような朝鮮に対して飽くまでもこれは新らしい友達として、これに対して我々がはっきりした保護的な態度で出るか、或いはこれに対して依然として今までとっておったような朝連の朝鮮人に対する考え方でやるか、ここのところに基本的な問題の分れ方があると思う。

今のお話は一応辻褄が合っているように思うのでありますが、一体朝鮮人に対して全面的にそのような方策を採るという態度を持っていられるのか。そうしてそれが日本の将来の例えば講和、平和を確立するという方向と、一体密接な関係があると思うのでありますが、このような、いわば民族に対する一つの抑圧のような態勢をとられて、果して一体講和を促進するために役に立つとお考えになるか。これを首相に私は伺いたいのであります。

[088]
内閣総理大臣・外務大臣(自由党) 吉田茂
只今も申す通り講和は講和、日本の秩序、法律が紊(みだ)され、若しくは侵されて、これは政府として傍観いたすわけには行きません。秩序を破壊するような法律を侵す者は、それが如何なる場合においても一応政府としては法によって処分いたさなければならぬ。

[089]
日本共産党 岩間正男
秩序を破壊するというような話でありますけれども、これに対して今度のなにを見ますと、例えば装甲車2台が動員されておる。それから警官も1000人も動員されておる。こういうような物々しい態勢でなされている。ここに非常にやはり日本の現在とっておる政府のやり方、それが非常に或る意図の下にされているのではないか、弾圧そのものが非常に大きなやはり危険を孕んでおるのではないかというように考える。

私達はここに思い起したのでありますが、例えばナチスがあのような戦争に入る前に、ユダヤ人を追放した。他民族を圧迫した。この他民族を圧迫するというようなこの狭い民族主義の上に立って、そうして一体世界の平和を維持するというような方向を取ることができるかどうか。

こういう点から考えるときに、今度の朝鮮人に対するところの措置というのは、非常にこれは重要な意味を持つものだ、こういうふうに思います。こういう点について、それは時間も余り少いのでありますから、議論をやっても仕方がないから、この程度で止めます。





昭和25年04月07日 参議院 本会議
[008]
無所属 松井道夫
次に在日朝鮮人の処遇の問題でありまするが、この点につきましては、私は曽(かつ)第6国会の施政方針に対する質疑の際に警告をいたして置いたのであります。然るに最近の新聞を見ますると、李韓国大統領が、在日朝鮮人の処遇がよろしくない、警察と朝鮮人との衝突の事件が報道された、こういうような状態では、日本の実業人その他に朝鮮に来て頂くというようなことはとてもできないという趣旨のことを申しておられるやに報道されておるのであります。又朝鮮の外務局長からマッカーサー司令部に対しまして、日本政府が在日朝鮮人の基本的人権を無視いたしておるという点に関しまして強硬な抗議的な申入れをいたしまして、その調整に努力いたしておるという記事が見えておるのであります。

日本と朝鮮とは一葦帯水でありまして、古くから文化的に経済的に政治的に密接な関係がございます。この地理的関係その他の関係を絶とうとしても絶つことは不可能なのであります。平和文化国家として、我々は外国人に対し最も公正にして親切な態度を以て臨まなければ、悔を千載の下に残すことに相成るのであります。

私はここに改めて吉田総理大臣兼外務大臣に対し、在日朝鮮人の処遇についてどういうお考えを持っておるかという点をお尋ねいたしますると共に、法務総裁に対し、李大統領並びに外務局長の申入れの趣旨或いは談話の趣旨は奈辺にあるのか、如何なる事件が勃発いたしたのか、又在日朝鮮人の処遇について欠けるところがあるのか等の点について、意見を質したいと存ずるのであります。

[010]
法務総裁 殖田俊吉
松井さんにお答えを申上げますが、朝鮮人の待遇につきましては只今総理大臣よりお答えを申上げました通りでありまして、私共は朝鮮人を成るべく日本人と同様に取扱いたい、これに差別的待遇を与えたくないという考えを以て臨んでおるのであります。

併しながら法律の規定に反しますような処遇をいたすことはできませんのでありまするから、例えば朝鮮人連盟の解散のごときはいろいろ文句もございますでありましょうが、これは、はっきりと団体等規正令に規定しておりまする条件が発生いたしましたために、これを断乎解散をいたしたのであります。

然るに今日までそのあと腐れと申しますか、いろいろな問題が残っておるのでありまして、そのためにいろいろなトラブルを実は生じておるのであります。先立っての台東会館の接収のごとき、又それから起りました朝鮮人と警察官の衝突のごとき、いずれも源をこれに発しておるのであります。

併しながらこれは法律に、政令にはっきり規定されておる事柄でありまして、日本の政府といたしましては、如何に朝鮮人が不平があろうとも、これは日本の国法を断乎実行する外に途がないのであります。





昭和25年04月10日 衆議院 外務委員会
[002]
国民民主党 並木芳雄
法務総裁にお尋ねいたしたいと思います。たびたび総裁には御足労を煩わしましてまことに感謝にたえません。しかし最近の国際情勢から判断しまして、日本が諸外国から受けるところの印象をなるべくよくしようという努力を持つことは当然でありますので、私はこの際誤解を一掃して、日本がほんとうに民主的に外国人を取扱っておるというような点についてお尋ねしてみたいと思りのであります。

その中で特に関心か持たれますのは朝鮮人関係でございます。実は私たちは朝鮮人関係につきまして、報道以外に必ずしも的確な知識情報を持たないのでございますので、この際法務総裁につまびらかにしていただきたいと思うのでございます。

まず最近台東会館の接収ということが行われたのでございますが、それに関連して相当の紛擾を起しておるやに承っております。中には日本の警官が暴行力為を行ったと言う人もありますが、そういう点の事実についても、この際明らかにしておいていただきたいと思います。また台東会館は朝連の所有ではないという説をなす者がありますけれども、こういう点につきましても、この際はっきりと法務総裁からお示しがあるならば、幸甚と思うのでございます。

[003]
法務総裁 殖田俊吉
台東会館の接収につきましては、いろいろ問題を起したのでありますが、昨年の9月に連盟の解散を命じましたとき、ただちに接収すべきであったのであります。そのときからいろいろと文句がありましたので、いろいろな問題をはっきりいたしますために延び延びになりまして、ようやく先月になって接収を了したような次第であります。

台東会館は台東区に居住する朝鮮人の全体の共有物である、連盟のものではない。こういうことを言うのでありまして、そうして警察署長だの区長だのが連盟のものではないという証明を出しておるそうであります。しかしこれはいろいろと調べたのでありますが、大体まず大よそのことを申し上げますと、台東会館と申しますのは、台東会館と称しておりますけれども、ほんとうの名前は朝連台東会館、こういう名称で呼ばれておったのであります。

それからまたこの会館を使用しております者は、朝鮮人連盟の台東支部、その他の朝鮮人の各種団体の事務所として使用しておったのでありますが、大体朝鮮人連盟が主としてこれを使用しておったのであります。朝鮮人連盟と密接な関係のあります団体がまだ幾つもありますが、それらがみなここを使用しておりました。でありますから外部から見ますと、むろんりっぱな朝鮮人連盟の所有する建物であったのであります。

それからなるほど、建築資金はかれこれ107万円だか、かかったのだそうでありまして、それは台東区に在住する多数の朝鮮人の寄付があったようであります。しかしこの台東区に居住する朝鮮人の大部分と申します者は、朝鮮人連盟の台東支部の所属者であります。そうしてまた、そのときに金を寄付した者に感謝状をやっておるのであります。その感謝状の名前は朝鮮人連盟台東支部ということで感謝状を出しておる、こういう事実もあるのであります。

それからこの建築をしますときに、朝鮮人連盟の中央総本部から木材を230石、くぎを130キロ、こういうものを朝鮮人連盟から持って行っておる。それからその敷地でありますが、建物の敷地は朝鮮人連盟台東支部委員長というものがその資格においてこれを借入れている、朝鮮人連盟がその敷地を借りているということになっているのであります。それからまた建築許可の申請も、右のように台東支部委員長がその資格において申請いたしまして、しかも建物利用の目的は、朝鮮人連盟台東支部事務所として使用するということを申し立てているのであります。それから建築請負契約でありますが、その際も右の台東支部委員長及び朝連台東会館建築期成委員長というものが、いずれもその資格において建築を注文をしている。登記がないだけでありまして、どこから見てもこれは朝鮮人連盟のものであると認定するほかないのであります。

警察署長や区長がどういうつもりでそんなようなものを出しましたか。この出したいきさつについても私は疑惑を持っているのでありますけれども、とにかくまあ出ているのであります。出ているにしても、それらの人は何もかような資料を持っているわけでもなし、またそれを認定する資格を持っている人でもないのでありまして、ただ区内にいる有力な人として証言をしたという人にすぎないのであります。

でありますから、この台東会館をいろいろ文句があるからと申しまして、これを接収せずに置くわけに行かない、どうしても接収しなければならない。これを接収しませんときには、全国のこれらの類似の問題がみな解決ができないのでありまして、いろいろと研究いたしました結果、これは接収すべきものと思うこう認定いたしましてそうして接収いたしました。

接収いたしますときに、これは前から接収するということを通知してあるのであります。ただ中に居住者が20何人かおりましたので、その居住者に立ちのくようということをたびたび言うたのでありますが、なかなか立ちのかない。そこで最後に、立ちのき先をつくりまして、住まえるようなところをつくりまして、そうして立ちのきをしてもらう、同時に接収する、こういうふうに手はずをきめたのでありますが、警察署長が事を穏便に進めるために、あらかじめお前たちは穏やかに立ちのかなければ強制的にでも立ちのかせるぞ、こういうことを言うたそうであります。これは非常に親切に言うたのでありますが、それを利用いたしまして、接収のために役所から警察官等が行かない前に用意をしたと申しますか、何100人もの朝鮮人が家の内外に立てこもりまして、そうして接収に向った者に向って石をほうり投げ、れんがのかけらをほうったとか、いやいろいろなことがあり、そうして警察官に全体で200何十人のけが人を出したのであります。朝鮮人の側では警察官からいろいろまたけがをさせられたということもあるのでありますが、警察官に抵抗する姿勢をまずとったのは朝鮮人側にある。

実は黙って、あらかじめ知らせることがなくて接収に行きましたら、かような不祥事がなかったかもしれぬと思うのであります。親切に教えたために、かえって用意をされて、そこでそういう闘争を起したというようなことのようであります。

そういたしまして、一時は多勢の者を検束したのでありますが、今ではほとんど調査も終りまして――そうです。初めに3月20日には公務執行妨害等の名前で119名を検挙したのであります。そうしてそのうち45名を勾留しました。その後17名を釈放しまして、まだきょうでございましょう、28名残っております。しかしこれも一両日中には処分を決定することになると思います。大体そういうことであります。





昭和25年04月10日 衆議院 法務委員会
[015]
日本共産党 加藤充
2、3点質問したいと思います。内乱罪の予備を含めて、従来よりもやや幾らか広いということを言われたのですが、やや幾らか広い分については、これはどういうけじめを、だれがどういう権限でおやりになるのでしようか。

[016]
政府委員(検事(民事局長)) 村上朝一
客観的な事実に基きまして、法務総裁が認定するわけであります。

[017]
日本共産党 加藤充
客観的な事実に基くと言われましても、何回も繰返して言うのですが、台東会館というようなもの接収問題が問題になったことは、朝鮮人連盟の財産であるとか、いや個人の財産であるとか、少くとも連盟の財産じゃないというような事柄でたいへんな問題になっておることは、天下公知の事実なんでありますが、そういうものについても、それを一方的に何ら日本の裁判の明しを立てる余地を残さずに認定をいたして、それを接収してしまう。

朝鮮の連中は私有財産制度の否認だということまで言っていきまいておりますが、それをしも客観的な事実に基いた認定だといわれるようなことが、第4条の第6号の規定の認定についても行われるということになりますと、たいへん重大だと思うのですが、そういう点で私はいま少し明確な規定がほしいと思う。それは田万委員から素行が善良であるというようなこと自体が明確にならないという質問もありましたけれども、その点で非常にこれは問題の多い規定だと思うのであります。

それでお尋ねいたしまするがたとえば今申し上げた団体等規正令の関係ですが、いわゆる朝連というような団体の中に所属していたものは日本に帰化ができないのか、団体等規正令に抵触した諸団体の所属メンバーと規正令第2条第7号の関係を御説明願いたいと思います。

[018]
政府委員(検事(民事局長)) 村上朝一
朝鮮人連盟は団体等規正令の第2条に該当する団体でございまして、解散の指令が出たわけです。

団体等規正令は第2条の第7号に「暗殺その他の暴力主義的企図によって政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること」ということが掲げてあります。

しかし日本国憲法またはそのもとに成立した政府を暴力で破壊するということとは要件が違うのでありまして、この団体等規正令によって解散されました旧朝連のメンバーであったからといって、ただちに第4条第6号の要件に該当するということにはならないと考えます。

[019]
日本共産党 加藤充
暴力で政策を変更させるということと、政府の破壊ということの関係をいま少し御説明願いたいと思います。

[020]
政府委員(検事(民事局長)) 村上朝一
政府を暴力で破壊すると申しますのは、刑法上の内乱罪にあります「政府ヲ顛覆シ」云々という場合と同様に、国家組織の大綱を破壊することを意味するのであります。国会、裁判所、内閣というような基本的な統治機構を転覆することを意味するわけであります。

団体等規正令において認めます政策の変更ということは、政府の定めた政策を変更させるというだけでありまして、政府そのものを破壊するというところまでは含んでいない、かように考えてあります。





昭和26年02月01日 参議院 地方行政委員会
[007]
日本社会党(社会民主党) 吉川末次郎
第2に、視察いたしまして共通的に感じますることは、さっき具体的に御報告いたしました事例によっておわかりになりますように、それが暴力的であり、又戦闘的であるということであります。

これらの暴徒らは警察との衝突に備えまして、あらかじめ小石或いは瓦片、目潰し、梶棒等の攻撃道具を用意いたした者が多いのでありまして、又実際にこれらのものを使用いたしまして、果敢、執拗に警察官等に抵抗して、攻撃を警官に加えておるのであります。

名古屋の旧朝連の財産接収反対運動、そういう旧朝連の財産接収に反対するという闘争題目で名古屋ではそうした暴動が行われたのでありますが、その中心地でありまするところの中村会館というところでやったのであります。そこにおきましても神戸騒擾事件の根拠地でありまするさっき申しました朝鮮人の西神小学校におきましても、戦闘的な青年行動隊員が尖鋭活動の中心となっておるのであります。殊に神戸の場合は、先に御報告いたしましたように、彼ら青年は白鉢巻をいたしまして、みずから決死隊であると放言いたしておるのであります。

又暴徒の行動は警察力に対しまして極めて挑戦的でありまして、警備に当るところの警察官等が、これに誘発されて行き過ぎた行動に出ないように苦心したというように警察のほうの幹部は私たちに言っておるのであります。又警察官と衝突するに当っては、先ず警察官の帽子を奪うというようなことも戦術として共通的にやっておるのであります。

名古屋の事件におきまして、血と汗で築いた会館は血で守る、台東会館、これは東京の事件でありますが、台東会館のようにやるから犠牲を覚悟してかかれというような言葉を使いまして、その言辞は実力行使を暗示しておるということが窺われるのでありまして、その行動は極めてさっき申しましたように挑戦的であります。





昭和26年02月17日 参議院 地方行政委員会
[006]
参考人(警視総監) 田中榮一
それから朝鮮人関係について申上げますと、3月10日と20日に、上野の台東区内にもと朝鮮連盟で使用いたしました台東会館というものがあったのであります。この台東会館は、旧朝鮮連盟に属しておりました朝鮮人がお互いに金を集めまして、それによって建設をいたした会館でありますが、この会館は旧朝鮮連盟の支部がここに、事務所としてこれを利用いたしております。又朝鮮人の人々が一部居住をいたしておったのでありますが、これにつきましてこの財産権の所属が十分はっきりいたしておりません。法務府にその実情を訴えて、その財産権の確認方を要請いたしたのでありますが、法務府におきましてこれをはっきり旧朝鮮連盟の所有物件であるということが確認をいたされましたので、3月の10日と3月の20日の2回に亘りまして折衝を行なったのであります。

第1回の3月10日の折衝は十分にその目的を達せず、一応接収をいたしたのでありまするが、まだそのやり方が生温い感じがありまして、十分に目的を達成することができませんので、3月20日に改めて完全な接収をいたしたのであります。

で、この接収のあることを聞きまして、旧朝鮮連盟がこれを妨害するために約500名ほどの者が参集いたしまして、飽くまでこの接収を妨害するという態度に出まして、もう初めから暴力行為に出まして、或いは防塞を作り、或いは随所にスクラムを組みまして、警察官の侵入を防止するというようなことで、建物附近では殊に抵抗が激烈を極めまして、遂に相当に随所に乱闘を現出いたしたのであります。

彼らの暴行の状況はかねて用意いたしました石塊、それから器物、器具、それから唐辛子等を屋上から投げつけまして、警察官に目潰しを喰わせるというような極めて計画的な暴力行為に出ましたために多数の警察官が負傷いたしたのでありますが、120名のうち日本人が12名おりまするが、120名の検挙をいたしたのであります。目下本件は第一審公判進行中で、丁度今日でございますが、今日で公判回数が24回に及んでおるのであります。





昭和26年03月20日 衆議院 法務委員会
[008]
参考人(警視総監) 田中榮一
ただいま御質問のございました過般3月7日、都下の北区上十条2の22の都立朝鮮人中高等学校におきまして発生いたしました騒擾事件につきましての御質問でありますので、一応私から大体の事件の原因並びに発生当時の状況並びにその措置等につきまして御説明申し上げたいと存じます。

これは朝鮮人中高等学校としては都内唯一の学校でございまして、これは終戦後在日朝鮮学校管理組合の設立にかかるものであります。昭和24年12月20日東京都教育委員会の決定によるところの朝鮮人学校教育取扱要綱というこの要綱に基きまして、都立学校といたしまして唯一の学校でございます。

ただいま中学校におきましては男が526名、女生徒379名、計905名、高等学校生徒といたしましては男が199名、女が46名、計245名、合計1150名在校いたしております。なお校内の宿舎は3棟ありまして、その収容されている定員は、大体90名程度であろうと考えております。

この学校は現在都教育庁の監督のもとにその運営を続けておるのでありまするが、本校の教育方針といたしましては、相当熾烈な政治闘争意識を学校生徒に植えつけているのであります。

特に昨年の3月20日に行われました上野の台東会館の接収の際、その他各種の政治闘争にこれらの高等学校の生徒等が常に参画をいたしまして、実力行使のいわゆる行動隊として、相当第一線において活躍をしておるのであります。





昭和26年03月23日 衆議院 法務委員会
[003]
参考人(警視総監) 田中榮一
なおそのほかに今国際マーケットのあります付近に――浅草公園の付近でありますが、その辺に約100名くらいの朝鮮人が住んでおります。なおそのほかに6区に約400名ほどの朝鮮人が住んでおりまして、大体業態は売春婦であるとか、客引あるいは古着屋、露店等を経営いたしております。露店は主として皮革製品だとかあるいは石けんとか、あるいはゴムぐつ、ゴム製品等を販売いたしております。

それで、大体におきまして、この朝鮮人の思想問題でありますが、指導力を有する主要人物というものはほとんどないようでございまして、あまり統制はとれずに、まちまちな行動をとっているようであります。中には昨年の3月20日台東会館接収に際しまして、これに参画いたしまして若干暴行を働いた者も少数いるようであります。大部分北鮮地域の旧朝連系に属するものと見られております。非常に附和雷同性の強い、過激な性格を有するものであります。



[034]
日本共産党 加藤充
この付近の朝鮮人一般が北鮮系であるとか、旧朝連系統の者であるとか、そういうようなことから反米的空気が一般に強かったというように言われるのですが、こういうふうに判断した理由というものは、今言われたような理由だけで反米的だというふうに御判定になったんですか。

[035]
参考人(警視総監) 田中榮一
お答えいたします。国際マーケットのところ並びにその付近には、いわゆる反米ビラを認められるものが無数に張ってございます。現在もなおかつその痕跡が十分認められるのでありまして、かかる点から相当反米意識のあったということは、われわれには一応認められるのであります。

それからなお占領阻害の行為につきましては、先ほど私が説明いたしました中にもちょっと申し述べたのでありますが、台東会館接収の際に、いわゆる集団暴行を行いました者も、この地区の中には若干はいるのであります。従いましてそうしたものの意識がないということは言えぬわけであります。





https://ja.wikipedia.org/wiki/台東会館事件






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