益田事件

昭和24年03月31日 参議院 地方行政委員会
[001]
委員長(無所属) 岡本愛祐
今日の議題は、派遣議員の報告でございます。選挙関係は報告が済みましたが、まだ兵庫、山口、島根各県に治安状況の現地視察に参りました、その報告が残っておりますから、今日はそれを御報告いたします。

私と黒川(※武雄。民主自由党)議員と島村(※軍次。無所属)議員3人が今申しました3県下並びに門司の海上保安本部に治安関係の調査に行くことになりました。島村議員は止むを得ない事情で遂に行を共にすることができなくなられまして欠席されました。

(略)

島根県における朝鮮人の数は約6400名でありますが、日本海を隔てて朝鮮と対しております。潮流の関係で釜山方面から島根、鳥取方面に来易いという状況になっております。それで本県の地理的な関係上、朝鮮人関係の密貿易、密入国事件も少くないのであります。昨年中の統計の数字を挙げておりますが、それを見ますと、密貿易の中で違反対象物の価額が1720万円に上り、検挙した密貿易の件数が6件、密入国者の逮捕数が18回で581名、押収した船が6隻ということになっております。その外に甚だ長い沿岸線を持っておりますので、監視の目を逃がれて潜入しておる者も相当あるだろうと想像することができるのであります。

島根県下の朝鮮人は在留期間の長い者が比較的多いのでございます。全般的にいって比較的温順である。併し益田町の高津部落の朝鮮人約11戸、70名おりましたが、それが集団居住しておりまして、定まった生業を有する者が少く、密造酒、闇物資の仲介等によって大体生活を立てておるという状態であります。これは他の地方におけると殆んど同じ型に属しておりまして、ただそのスケールが小さいのであります。

この地方における朝鮮人の間には朝連を通じまして十分の連絡がありまして、必要に応じては、益田町事件の例に見られるように、附近の朝鮮人を直ぐ急速に糾合しまして、そうして警察署に押寄せて行く。そうして益田町事件の場合は200名を動員しまして警官隊との間の乱闘が起きまして、20余名の負傷者が生ずるに至ったのであります。穏健だといってもその附近から直ぐ応援に参りますから、なかなかこれも油断ができない情勢であります。





https://ja.wikipedia.org/wiki/益田事件






前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
漢数字は一部アラビア数字に変換、一部括弧と句点を入れ替えています。
基本的に抜粋して掲載していますので、全文は元サイトでご確認ください。