昭和24年03月31日 参議院 地方行政委員会 [001] 委員長(無所属) 岡本愛祐

昭和24年03月31日 参議院 地方行政委員会
[001]
委員長(無所属) 岡本愛祐
我々2人は2月20日から3月1日まで10日間に亘りまして、右3県下に出張いたしまして、兵庫県庁、広島市、山口県庁、宇部市、下関市、門司海上保安本部、萩市、島根県の益田町、島根県庁の9ケ所におきまして、各県、市、町の首脳者、公安委員、国家地方及び自治体両警察の首脳者、海上保安庁の関係官、経済調査庁の関係官、その他の関係者から親しく現地の治安状況、

殊に姫路事件とか、これは昭和23年12月10日姫路市における朝鮮人連盟対朝鮮民団の衝突事件であります。

それから宇部事件、これは12月9日宇部市における朝鮮人群衆と警察官との衝突事件であります。

益田事件、これは12月25日島根県益田町高津部落の朝鮮人に対する密貿易の隠匿物資の摘発に端を発して、翌26日朝鮮人の群衆が自治体警察署に押寄せて参りまして、朝鮮人と警察側双方に負傷者を出した事件であります。

これを中心としまして各地における酒類の密造、密貿易、密入国及びその取締状況等の朝鮮人関係の治安問題について、詳細に事情を調査した次第であります。

この内容の詳細につきましては、同行して呉れられた福永専門員がノートを作っておられます。それから関係者から説明資料の提出を受けました。これは委員部の方にございますから、それを御覧願うことにいたします。ここでは専ら以上の結果を総合して得ました結論的な部分を述べまして、今回の現地調査の報告といたします。

これに対して国家公安委員長、国家地方警察本部長官、海上保安庁の長官に御出席を願いまして、いろいろ御意見を承わり、又質問も申上げたい、こういうふうに思っております。

先ず調査各地における朝鮮人問題の概観を申上げますと、阪神地方においては、従来から労働問題、思想問題に関連しまして、同地に在留しております朝鮮人がその影響を非常に受けておるのであります。戦後朝鮮人の多くは生業を離れまして、失業状態に陥っておる人が非常に多いのであります。闇ブローカーとか、酒類の密造等の経済違反行為の温床をなしておるのであります。

大阪、兵庫附近におきます朝鮮人の数は非常に多い。そこにこの経済事犯行為が非常にありますし、又いわゆる闇商人が列車を乗り廻っておるというような状況であります。殊に最近はこの種の違反行為が集団的、計画的且つ悪質なものとなる傾向が強くありまして、従ってその取締の対策もこれに相応して強力且つ充実せるものが必要となって参りました。
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