昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会 [016] 政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇

昭和28年03月05日 衆議院 地方行政委員会
[016]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
かようにいたしまして、現在表面はそういった警察対象になりまする暴力活動というものは、影をひそめたかに見えておりますが、しかし裏面においては、むしろ着々とその準備を進め、時の来るのを待っておるという現状だと考えております。

合法面において、各種の段階を通じてあらゆる運動を展開いたしておりますることは、これは御承知の通りであります。この点は取締りの対象になるものではございませんけれども、かようにいたしまして、いわゆる思想面、行動面の統一活発化を策しておるというのが、今日の現状のように考えるのであります。そうしてわれわれ警察面におきまして最も注目を要しまするのは、これらが一定方針のもとに立つという場合には、必ず同時多発ということが当然の帰結であります。

警察といたしましては、そういった同時多発の事態に対処し得るように、ふだんからそういったいわゆる革命勢力と申しますか、軍事行動に移り得るものの実態を完全に把握をいたしまするとともに、どういうやり方で、どういう方法でいわゆる革命的暴力行為をやるかということを調査をしながら、これに対処し得る方法、訓練もやって行かなければならないのであります。

これが実際実施に移されるという場合には、それに対応し得る活動を、ただちに始めなければならないようなわけでありまするから、われわれといたしましては、さような場合に対処し得るのに遺憾のない警察の制度、あり方というものを、今のうちに確立をいたしておくことが何よりも肝要だと思うのであります。

私から進んで申しまするのはおかしいようでありまするが、さような場合には日本には保安隊があるではないか、それはもっぱら保安隊の責務であろうという考えを持たれる方々が多いのであります。しかしながら保安隊が出動いたしまするということは、何と申しまするか、最悪の場合でなければなりません。できるだけ普通の警察の方法でかような事態を防止をし、鎮圧するということが最も望ましいと考えておるのであります。
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