昭和27年04月22日 衆議院 行政監察特別委員会 [009]~[018] 委員長(自由党) 内藤隆、証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉

昭和27年04月22日 衆議院 行政監察特別委員会
[009]
委員長(自由党) 内藤隆
昨年の12月以降におけるあなたの管内の日本共産党系団体の動向と、日本共産党系団体を主体とする暴行事件の概略をひとつお述べ願いたい。

[010]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
その当時の文書資料がございますですが、それを……。

[011]
委員長(自由党) 内藤隆
文書をごらんになってようございます。

[012]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
昨年の12月以降の動きといたしましては、昨年の12月5日の早朝から、広島の自由労組の書記長吉田治平そのほか幹部、自由労働者の一隊が広島の市役所に集まりまして、午前8時半ごろに約1200名ほどになりまして、その後それらのものが3階に上って、市役所の幹部に対して越年資金の要求を行いました。午前9時半ごろにはそのうち尖鋭分子50名が、市長室の隣りの秘書室の内部に居すわり戦術を行いまして、遂に市当局は午後5時15分に退去命令を発したのであります。しかしながら、依然として退去しない。そこで午後8時5分に、広島市警は約100名の武装警察官を動員して、午後9時ごろ全員を退去せしめたという事件があります。

なおその後3月1日のいわゆる3・1闘争――本年の3月1日でありますが、3・1闘争において、広島の特審局中国支局の庁舎を襲撃して、催涙弾を投ずるとか、玄関のガラス戸をぶちこわすというふうな事件もありました。これは後ほどお尋ねによって詳細御説明申し上げたいと思います。

なお宇部の宇部窒素が2月以来争議をいたしておりましたが、その争議において、3月30日の午後10時30分ごろに、いわゆる第2組合の事務所の階下と階上の寝室に爆発物を1個ずつ投じております。その当時階下に4名、階上に3名が寝ていたのでありますが、爆発物が爆発した結果、階下にいた3名の者と、階上にいた1名の者が、全治2週間程度の擦過傷を受けております。なお器物の損壊としては、事務室の机、いすをこわし、階上、階下ともに直径約10センチぐらいの爆薬の跡を残していたのであります。そうしてこの爆弾の性能を見ますと、墨汁のあきカンを利用したものでありまして、その性能は十分に人を殺傷する効力があるというふうに認定せられております。

なお広島の自由労組内部における一部急進分子は、今年の1月ごろから中核自衛隊の結成に着手して、最近その結成がほぼ完了したのではないかというふうに見られております。そうして情報によりますと、それらの分子は、今年の1月ごろから、広島の市役所、広島市警、職業安定所、特審局のおもなる職員の住所、電話、家族の実態を調査して、なお軍事科学の研究も指導しておるといわれております。

彼らは従来の日和見主義を一擲して、市役所労政課員に対してテロを加えるという計画も持っておるという情報が入りましたので、これはすかさず市当局その他関係機関に特審局の方から連絡いたしまして、現在警戒中であります。

そのほか急進分子は、国警、市警、特審局職員に対してテロを加えるという計画の情報もありました。その手段としては、火焔爆弾を投げる、情報機関の職員を強制的に拉致し監禁して、拷問を加えてその調査活動の内容をとる、はなはだしきは、それらの職員の家族の子供を誘拐する、これが最もこたえるであろうというふうな計画をしておるという有力な情報があります。

なお武器といたしましては、それらの爆弾等のほか、拳銃も相当に収集しておるという情報がありますが、実際に起った事例といたしましては、3月23日の午後11時50分ごろに、宇部市の特審局山口県主任駐在官の私宅にれんが大の石を合計5個、しかも一斉に投げ、ガラス戸をぶちこわし、幸いにして家族がそこより少し離れたところにいましたために、負傷はなかったのでありますが、そういう具体的な事件も発生しております。

なお3月25日には午後1時30分、白昼であります、松江市において、島根県特審局の主任駐在官の宅の近所の家に、松江市会議員の川島喜代治、これは日本共産党員であるという報告を受けておりますが、この日本共産党員であるといわれている松江市会議員の川島喜代治という人物が、婦女子に対して特審局の家と間違えたらしくて、この家におれの敵がいる、そういうやつを置いておけば、お前もやっつけてやるぞというふうに、脅迫した事実があります。これは島根県松江市の市警において現在捜査中であります。

なお4月18日には、岡山でいろいろのビラがまかれておりますが、そのビラの中には、特審局職員の蜂谷事務官というものをさしまして「小坂(東署)平野(東署)小畑(西署)蜂谷(特審)は悪質である」云々ということが書いてあります。そうして「日本共産党岡山地区委員会」というふうに、はっきりとそのビラに書いてあります。なお同時にまかれた文書によりますと、「破壊活動防止法こそすべての民主的活動を禁止する」云々と書いて、そうして「愛国者の先頭に立って闘っている日本共産党や朝鮮人進歩的に対しピストルを発砲し弾圧を加えている」云々と書いて、やはり「小坂(東)、平野(東)、福間(東)、畑野(東)、小畑(西)、山口三成、蜂谷(特審)などは特に悪質な番犬だ」そうしてその末尾には「アメリカと吉田の手先悪質警官の末路は白鳥と同じだ」ということが大きな字で書いてあります。大体管内で現在までに発生しております状況は以上の通りであります。

[013]
委員長(自由党) 内藤隆
現在あなたの中国特審局支局の管内には朝鮮人はどれほどおりますか。

[014]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
約3万ぐらいおります。

[015]
委員長(自由党) 内藤隆
その3万ぐらいの朝鮮人の団体的な動向、昨年12月から今日までどういうものが起っているか、ことに北鮮系朝鮮人集団を主体とする暴行等の事件があれば、それらの概略をひとつ……。

[016]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
中国地方の北鮮系の朝鮮人の運動といたしましては、昨年の11月ごろまず岡山県、それから広島県、山口県というふうな順序で、民戦の県委員会が結成されております。そうして各地ともその組織を拡充しつつあるのでありますが、広島県におきましては、実力闘争の訓練といたしまして、本年の1月21日に、広島県の安佐郡可部の税務署で、北鮮系の朝鮮人の崔羽振という人、そのほか3戸の密造酒を検挙したのでありますが、そういたしますと、北鮮系の朝鮮人が動員されて、約1時間くらいで隣りの高田郡方面からもかけつけるというふうな状態で、200名くらいになって、これらの者が税務署を襲撃するという計画で、こん棒であるとか、小石であるとか、目つぶしというふうなものを準備して、可部の神社で待機しておったのでありますが、交渉が夜に入ったために、その襲撃の目的を達しなかったという事件があります。

なおその事件のあとで、2月17日に海田市町で民戦系の指導分子約30名くらいが、その批判会をやっておりますが、その結果、事件発生後きわめて短時間に200名くらいが集合したということは、非常に大成功であった。それから参会者がいずれもこん棒であるとか、小石であるとか、とうがらしの粉というふうな武器を用意したことも、平素の気構えがよくできておる。しかしながら交渉に手間どって、結局敵の術策に陥ったことが失敗であった。これからはそれを改めて、警察官との衝突に持って行って、そこで犠牲者が出たならば、さらにそれによって紛争を拡大する。こういうふうな方針を決定したといわれております。

そうして2月2日になりますと、広島の船越町の安芸民団団長である金龍鎬、安佐郡の支部長である崔錫郷、その2人を反動分子であるといって脅迫的なビラをその付近に張って、脅迫したという事実もあります。

それからさらに3月1日になりますと、いわゆる3・1闘争に動員されて、各所で朝鮮人の実力闘争が行われております。

[017]
委員長(自由党) 内藤隆
3・1闘争については、いずれまたお伺いしたいと思いますが、そういう程度のやはり暴行事件があったわけですね。

[018]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
はい。
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