昭和27年07月29日 衆議院 地方行政委員会 [010] 参考人(大阪市警視総監) 田中楢一

昭和27年07月29日 衆議院 地方行政委員会
[010]
参考人(大阪市警視総監) 田中楢一
そこで大阪府会としては今後管区学校の生徒は出さぬでくれと国警の方に申し入れまして、それで警察の幹部の方の責任が重くなった。そういう重大事件に対しましては率先応援する、そしてああいうことのないようにというふうなことで現在やっておるのであります。

それであれは一つには、電車の方から来ましたものがあまり武装してなかった。これは陽動作戦だろうと思うのですが、それにひっかかった。それで裏からまわって来るものに気がつかなかった。そこが警備上の失態が起きる原因になった。それと警備隊態勢が人数だけ集めるというような考えであった。ああいうような警備に対しましては、平素あまり訓練してない者を、警察官であるからというので集めただけでは、役に立たないということがはっきりと立証されたのであります。

やはり日常から大阪市で警邏隊――東京では予備隊といっておりますが、そういったもののみを中心として、平素から十分な訓練を与えてやらなければならぬという考えから、現在、先ほど申しましたように、府下一円で共通の警備部隊をつくって、いかなる場所に出て来ても、それと警視庁の警邏隊が一緒になってやるというふうに進めております。

それにつきましては、各警察署、自警も自分のところだけでは強化することができない。ところが数名の者はその必要のために供出できる。数名の者を出しますれば、当然それで100数十名の者ができる。それが若くてそうして剣道、柔道なんかの心得のある者とか、そういう警備、治安に対処する一番適任者を率先して出す。そうしてそれをそういうふうに専門に訓練しましたら、これは相当強力な活動ができるのであります。

そうしてそれを結成することにしまして、――これはもう早急にやるのでありますが、これに対する費用を府の方で一部負担してやるというようなことになりました。こういうふうなことで、これは今まで例がないのではないかと思いますが、警視庁は一切府の方からそういう援助を受けない。それであとの国警と市警からできました1個中隊の活動というものは府の方で心配してもらう。そうしてそれについて大体1000万円今度の予算で組んでやるということでありました。これは各衛星都市とも非常に関係者が喜びました。そういう実情であります。
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