昭和29年05月29日 参議院 地方行政委員会 [080] 無所属 加瀬完、[081] 政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇

昭和29年05月29日 参議院 地方行政委員会
[080]
無所属 加瀬完
一部の者が特殊な資料で、現在合法政党と認められているものを非合法だと認定してかかることは、あなたが共産党の危険を感ずる以上に我々はやはり一種の危険を感ずるのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)

そこで小坂大臣に伺いたいのでありますが、それほど政府の政策として共産党は破壊暴力革命を歴然としているから、かくのごとく警察法を改正して対処しなければならないと言われるならば、なぜ一体政府はこの共産党に対して合法性というものを取上げること、非合法にすることに態度をはっきりしないのか、この点が一点。

それから先ほど質問した第二点については答えがありませんから、これはあとで長官に又伺います。

[081]
政府委員(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
大臣から後ほどお答えを頂けると思いますが、なぜ刑事訴訟法に基く手続でやらないかというお尋ねだと存じますが、これは申上げましたように、犯罪行為であるという場合には刑事訴訟法の手続によりまして、或いは家宅捜索もし、或いは物件を押収し、或いは令状によって逮捕いたすことは勿論であります。

併し今の秘匿された地下の準備活動というものは犯罪対象になりません。従いまして、犯罪対象ではありませんが、非常に危険な活動であって、これがいつ犯罪となって現われるかわからない。だから犯罪になる前に我々はその状況を知っておく必要がある。かような意味から、法律に禁止されていない方法でその内容を知り得るように努力をいたしております。こう申上げておるのであります。

合法政党であるからそこにいわゆる秘匿された地下活動というものはあり得ないというお考えには私は承服がでないのであります。勿論合法政党であって、合法的な、合法と申しますか、誰からも見得られる公然活動というものは共産党にあることは十分知っております。その意味におきましては、これは立派な合法政党だと思います。

同時に、併し人に知られない非常に秘匿された極秘の方法で秘匿をされた、その秘匿の技術とその秘匿の組織を以て、その中において準備されておるいわゆる終局の目的である最後の武装革命の準備というものについては、これは我々は合法政党の名を冠しておるからと言って、茫然として手を束ねておるということは、国警治安機関としても怠慢の謗りを免れないと思います。
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