昭和27年06月30日 衆議院 本会議 [032] 自由党(自由民主党) 内藤隆

昭和27年06月30日 衆議院 本会議
[032]
自由党(自由民主党) 内藤隆
以上のような事態に対しまして、治安担当の各機関の状況はどうかと申しますと、第1に、治安機関は一般に自己の権力を過信しやすく、日本共産党の非合法活動を過小に評価して楽観的観察をなす傾向があります。第2に、日共、中共その他の文献に現われた戦略戦術等の研究が不十分なため、ややともすると彼等の遊撃作戦、陽動作戦に乗せられる弱点を示したのであります。第3に、冶安当局の機動力の充実その他装備の点に一段の改善の余地があることが認められたのであります。

次に制度上の問題としては、第1に、集会、行進等に関する公安条例をすみやかに全国一律に法律化する必要があること、第2に、刑事訴訟法の勾留理由開示、黙秘権の行使等につき急速に改正を行う必要のあることが認められたのでありますが、特に現在における治安取締上の重大な欠陥は、自治体警察のあり方並びに国警、自警二本建制度に起因するものが多大であるという点が認識されて、警察一本化が、治安取締りの能率の点と、国民負担軽減の点とより、すみやかに実施さるべきであるとの結論に達したのであります。

日本共産党が、昨年10月、第五回全国協議会で武力革命に関する戦略戦術を決定しましてから、同党の行動は白昼公然と暴力化の方向をたどり、ソ連圏共産主義国家群の一環としての人民政府樹立戦線の結成のためには、その合法面を利用してあらゆる宣伝、扇動を行うのはもちろん、各種の陳情抗議運動を行うことによってその推進の激化をはかっているのであります。

かかる日本共産党の暴力的攻撃態勢に対して、政府は、自由主義を守り、民主政治を確立するため、一日も早く日共の地下活動の究明と、その壊滅とにあらゆる努力を傾倒するとともに、日本共産党による独裁的暴力化の実相とその目的とを国民の前に暴露して、国民各層の間に反共理念の確立をはかり、さらに治安活動が国民の協力のもとに力強く推進されるよう、対共政策の確立を期すべきであると結論された次第であります。(拍手)

さらに、前述の騒擾事件に関連して起った各大学の学生と警察官との紛争事件も、本委員会において引続き問題として取止げましたが、その詳細は別に書類をもって報告してあります。

大学が暴力革命の拠点となり、学生が革命の有力な一翼となることは、最近の中共、フランス、イタリア、東独等の共産革命運動においても顕著な事実であることを思うならば、最近におけるわが国の学生運動の風潮に革命の前夜たる様相があるというのも、決して本員の誣言(ふげん・しいごと)ではないと信じます。

以上は、本国会会期中において、本委員会で調査を完了しましたものの大要であり、諸事件の調査の完結次第、その都度報告書を作成して議長あてに報告しておきました。
前略と後略は省略、旧字は新字に変換、誤字・脱字は修正、適宜改行、
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